マイクロプラスチック 人体への影響と飲料水の対策
水道直結ウォーターサーバー
ウォータースタンドのある暮らし
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プラスチック製品は私たちの生活において、あって当たり前の存在となっています。プラスチックが開発された当初から、製品の加工においては画期的なものでした。しかし、マイクロプラスチックが環境に与える問題は世界的に大きく取り上げられるようになり、生態系をも脅かしています。マイクロプラスチックは食物連鎖やさまざまな経路から人の体内に侵入し、少しずつ蓄積していくといわれています。

マイクロプラスチックは有害物質の運び屋!?
プラスチックと一般的に呼ばれているものは、石油を原料とした合成樹脂です。紫外線を浴びると耐久性が下がり、風や波の影響など外的要因で小さな破片となります。そして、5mm以下からナノサイズまでになったものをマイクロプラスチックと呼んでいます。プラスチック自体は有害物質を含むものです。また、自然環境の中では存在しないものなので、マイクロプラスチックは、海を漂い海洋生物を傷つけるだけでなく、環境ホルモンなどの有害物質を海洋生物へ行き渡らせる運び屋になっているのです。

マイクロプラスチックはすでに人体にも?
マイクロプラスチックが、環境にも人の身体にも影響がないのならここまで問題視されることはなかったのかもしれません。マイクロプラスチックが懸念される理由として問題とされているのは、さまざまな侵入経路からすでに人間の体内にもマイクロプラスチックが発見されたという研究結果が出たからです。
2018年10月に、日本人含むボランティア被験者8人全員の糞便からマイクロプラスチック粒子が検出されたという調査結果が、オーストラリアで開催された胃腸病学会議で、胃腸病学者であるフィリップ・シュワブル氏より発表されました。
- 参照先 ナショナルジオグラフィック
- 参照先 一般社団法人環境金融研究機構

体内のマイクロプラスチックの侵入ルートは?
現状ではマイクロプラスチックの正確な侵入ルートはわかってはいませんが、考えられる主なものでは、飲料水・海産物・ほこりなどの可能性が高いといわれています。
「たとえマイクロプラスチックが体内に入ってきても消化されず腸を通過して体外に出てしまうなら人体に悪影響はない」と一部では言われているものの、今後マイクロプラスチックが増え続けることによってマイクロプラスチックに吸着した環境ホルモン等の有害物質が、健康被害となる可能性が出てくるのではと懸念されています。

環境ホルモンによる人体への影響
マイクロプラスチックから検出された環境ホルモンの濃度は、海水中の汚染濃度の10万~100万倍といわれます。汚染物質を吸着したマイクロプラスチックが魚介類や海鳥の消化器官から検出されています。その汚染物質は生物の脂肪に移行し生物濃縮となって蓄積されています。
残留性有機汚染物質 |
使われた製品 |
及ぼす影響 |
PCB(ポリ塩化ビフェニル) |
工業・家電製品、インクなどの溶剤 |
発がん性、免疫機能低下、知能への影響 |
ダイオキシン |
除草剤ごみの焼却後の灰 |
発がん性、免疫機能低下、生殖機能障がい |
DDT(DDE) |
殺虫剤(マラリアなど)農薬 |
発がん性、動物における奇形 |
ディルドリン |
農薬、殺虫剤シロアリ駆除剤 |
発がん性、中枢・抹消神経系への影響 |
ノニルフェノール オクチルフェノール |
洗剤などの界面活性剤、プラスチックの添加剤 |
内分泌かく乱作用全般 |
ビスフェノールA |
プラスチックの原料および添加剤 |
胎児、乳幼児の発達・発育異常 |
環境省がリストアップした環境ホルモンは70種類あります。プラスチックそのものとマイクロプラスチックに吸着した環境ホルモンによる人への影響は明らかにはなってはいないものの、ヒトの細胞の室内実験では影響があるという研究結果がでています。
女性…乳がん・子宮内膜症の増加
プラスチックから溶け出したノニルフェノールによって乳がん細胞が増殖
男性…生殖機能低下
精子数の減少・精子の濃度低下
胎児…発育異常・知能への影響
環境ホルモンは発育初期に大きく関係するため、海(水)中に残留したPCB(ポリ塩化ビフェニル)は知能への影響があるといわれている。
環境ホルモンって何?
環境ホルモンとは、本来ヒトのホルモンと構造の一部が似たかたちをもつ化学物質です。ホルモンによる信号を受け取る器官である『受容体』にあたかもホルモンのように結合します。ホルモンのバランスを崩し、からだの健康を保つ働きを邪魔して生殖機能・甲状腺機能・脳神経などに重大な影響を及ぼします。内分泌系に作用するため『内分泌かく乱物質』とも呼ばれています。
微小プラスチック、世界13カ国の水道水で検出
米ミネソタ大やニューヨーク州立大学などの研究グループが行った調査によると、世界13カ国の水道水のほか、欧米やアジア産食塩や米国産のビールに微小なマイクロプラスックが含まれていることが発表されました。とくに水道水の検出率は81%と高く、ほとんどが繊維状の繊維製品由来のものとみられています。日本の水道水は調査の対象外ではありますが「日常生活で避けられない水道水の汚染が世界に広がっていることは大きな懸念材料だ」と警告しています。

飲料水の対策を考える
2018年後半頃から、国内におけるマイクロプラスチック関連のニュースが増えるにつれ、水道水へのマイクロプラスチック混入を不安視する動きも出始めています。水道水のリスクに関して近年を振り返ると、2011年には原発事故による放射性物質への不安が高まりました。いずれにしても、人による環境破壊が、飲料水の原水への影響を及ぼした結果です。
原水への正しい知識
こうした飲料水への懸念材料の対策には、まず、「原水」への正しい認識を持つ必要があります。
日本国内で、飲料可能とされている飲料水を大きく分類すると、「水道水」と「ミネラルウォーター」、「井戸水」に分かれます。(ミネラルウォーターの詳細な定義はここでは割愛し、ボトリングされて販売されている飲料水のこととして扱います。)
「水道水」も「ミネラルウォーター」も、原水は河川や湖、地下水などの自然のお水です。つまり、水道水であっても、ミネラルウォーターであっても、環境破壊によるリスクに大きな差はないということです。
では、何を基準に安全性を考えるべきでしょうか?
飲料水の安全性
安全性について影響があるのは、「原水」、「浄水方法」、「供給経路」です。
『天然水』として販売されているものの多くは、水源の特徴を活かした自然のお水で、浄水処理の基準は「食品衛生法」です。プラスチック製のボトルにつめられて配送されます。
一方、宅配水(ウォーターサーバー)の中には『RO水』という種類があります。これは、逆浸透膜という浄水フィルターを用いピュアウォーター(純水)をつくりだすので、安全性が最も高いと考えられているものです。
水道水の基準と飲料水対策としての浄水器
水道水の浄水処理の基準は、厚生労働省で定めている「水道法」です。浄水処理の基準は世界の中でも比較的高いと言われています。一方で、浄水場のお水が蛇口に届くまでには、水道管や屋内配管などを経由します。水道管内の汚れ対策として、浄水後のお水には塩素が加えられます。そういった衛生面や塩素の匂いなどの対策として、蛇口に浄水器を取り付けるのが一般的になっており、普及率は全世帯の約40%です。
浄水器には様々な種類があり、塩素を取り除ける程度のものから、放射性物質の除去が可能な逆浸透膜(ROフィルター)搭載のものまで、性能差には大きな開きがあります。どのレベルの浄水機能が必要なのかに応じて製品・サービスを選択する必要があります。
環境負荷が少ない水道直結のウォーターサーバー
ボトリングされたお水を購入するうえで、最も安全性が期待できるのは逆浸透膜で造水されたRO水(=ピュアウォーター・純水)、次いで、ウルトラフィルターでろ過された浄水というのが一般的です。
しかしながら、これらはプラスチック容器を使っているので、購入自体が環境負荷を否めないと言う問題を含んでいます。
一方、工場で行うのと同等のろ過を、コンパクトなサーバー内で行えるウォーターサーバーや浄水器があります。水道水を原水とし、塩素や水道管内で影響をうけた不衛生な要素を除去し、安全性の高いお水を利用できます。よって、プラスチック容器や配送などの環境負荷がかかりません。こういった水道直結のウォーターサーバーを日本浄水器協会では「サーバー型浄水器」という分類で定義しています。
マイクロプラスチックから健康を守ると同時に、プラスチックの社会的な問題の解決を両立する、次世代のウォーターサーバーとして期待されています。
ウォータースタンドが取り組んでいること
- ウォータースタンドの環境貢献効果
- プラスチックボトルが不要なウォータースタンドは、誰もが使用できる水道水を活用する環境負荷の低いウォーターサーバーです。ウォータースタンドの普及とマイボトル文化の醸成に取り組み、ペットボトルゴミ削減と持続可能な社会の形成に貢献します。
- 産官学の連携
- ウォータースタンドを「給水スタンド(給水スポット)」として公共の場へ設置し、マイボトル活用を推進する自治体と協定を締結することでペットボトル削減に取り組んでいます。
また、環境問題・生態系などの研究者との交流を通した学術機関との連携や、環境課題について学んでいる学校へ訪問し、生徒さんとの意見交流会、出前授業などを実施しています。

