マイクロプラスチック 海洋汚染と人体への影響
水道直結ウォーターサーバー
ウォータースタンドのある暮らし
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海洋汚染の影響を受けている深刻なマイクロプラスチック問題への対応は、国連の海洋会議でも緊急課題としています。
ここでは、マイクロプラスチックによる人体への影響と、海洋汚染対策のためにはどう取り組んでいけばいいのかについて解説しています。

マイクロプラスチックは有害物質の運び屋!?
プラスチックと一般的に呼ばれているものは、石油を原料とした合成樹脂です。
プラスチックが紫外線や風、波など外的要因で劣化し、直径5mm以下の小さな破片となったマイクロプラスチックは、海に流れ込んで、海洋生物の命を脅かしています。
海を漂うプラスチックには、海の汚れや有害物質を吸着する性質があり、マイクロプラスチックを餌と間違えて海の生物が摂食すると、「生物濃縮」として体内に蓄積し、その魚を食べる人間の体にも海洋汚染の影響を及ぼす恐れがあると言われています
人が利便性の中で作りだしたプラスチックが、海洋汚染を引き起こす原因だけでなく、環境ホルモンなどの有害物質を海洋生物へ行き渡らせる運び屋になっているのです。
※生物濃縮とは
ある種の科学物質が生態系の食物連鎖を経て生物体内に濃縮されていく現象のこと。代謝を受けにくい科学物質は、尿などで体外に排出されにくく、生物体内の脂質中などに蓄積していく傾向にあります。

マイクロプラスチックはすでに人体にも?
マイクロプラスチックは、私たちが口にする魚や貝、食卓塩、ペットボトル入りのミネラルウォーターなどからも発見されています。また人の排泄物や血液からも検出されたという研究結果も発表されています。
微小プラスチック、世界13カ国の水道水で検出
2018年9月に、世界13カ国の水道水のほか欧米やアジア産の食塩、米国産のビールにマイクロプラスチックが含まれていることを、米ミネソタ大やニューヨーク州立大学などの研究グループが行った調査によって発表されました。
※日本の水道水は調査の対象外
※引用元 共同通信

人間の排便からマイクロプラスチック検出
2018年10月に、日本人含むボランティア被験者8人全員の糞便からマイクロプラスチック粒子が検出されたという調査結果が、オーストラリアで開催された胃腸病学会議で、胃腸病学者であるフィリップ・シュワブル氏より発表されました。
- 引用元 ナショナルジオグラフィック
- 引用元 一般社団法人環境金融研究機構

人間の血液中からマイクロプラスチック粒子検出
2022年3月、オランダのアムステルダム自由大学の研究者らが、健康なボランティア22人から提供を受けた血液サンプルを調べたところ、17人(77%)の血液からマイクロプラスチックが検出されたという結果が発表されました。

体内のマイクロプラスチックの侵入ルートは?
完全に分解することのないマイクロプラスチックの破片は、ホコリや食べ物、飲み物、人間の胎盤や哺乳瓶からも発見されているようです。
プラスチックが体に害を及ぼす可能性はないと考えられてきましたが、マイクロプラスチックが血液中から見つかったことで、プラスチック粒子が血流に乗って臓器に運ばれる可能性のあることが懸念されているようです。

環境ホルモンによる人体への影響
マイクロプラスチックから検出された環境ホルモンの濃度は、海水中の汚染濃度の10万~100万倍といわれます。汚染物質を吸着したマイクロプラスチックが魚介類や海鳥の消化器官から検出されています。その汚染物質は生物の脂肪に移行し生物濃縮として蓄積されています。
残留性有機汚染物質 |
使われた製品 |
及ぼす影響 |
---|---|---|
PCB(ポリ塩化ビフェニル) |
工業・家電製品、インクなどの溶剤 |
発がん性、免疫機能低下、知能への影響 |
ダイオキシン |
除草剤ごみの焼却後の灰 |
発がん性、免疫機能低下、生殖機能障がい |
DDT(DDE) |
殺虫剤(マラリアなど)農薬 |
発がん性、動物における奇形 |
ディルドリン |
農薬、殺虫剤シロアリ駆除剤 |
発がん性、中枢・抹消神経系への影響 |
ノニルフェノール オクチルフェノール |
洗剤などの界面活性剤、プラスチックの添加剤 |
内分泌かく乱作用全般 |
ビスフェノールA |
プラスチックの原料および添加剤 |
胎児、乳幼児の発達・発育異常 |
環境省がリストアップした環境ホルモンは70種類あります。プラスチックそのものとマイクロプラスチックに吸着した環境ホルモンによる人への影響は明らかにはなってはいないものの、ヒトの細胞の室内実験では影響があるという研究結果がでています。
女性…乳がん・子宮内膜症の増加
プラスチックから溶け出したノニルフェノールによって乳がん細胞が増殖
男性…生殖機能低下
精子数の減少・精子の濃度低下
胎児…発育異常・知能への影響
環境ホルモンは発育初期に大きく関係するため、海(水)中に残留したPCB(ポリ塩化ビフェニル)は知能への影響があるといわれている。
環境ホルモンって何?
環境ホルモンとは、本来ヒトのホルモンと構造の一部が似たかたちをもつ化学物質です。ホルモンによる信号を受け取る器官である『受容体』にあたかもホルモンのように結合します。ホルモンのバランスを崩し、からだの健康を保つ働きを邪魔して生殖機能・甲状腺機能・脳神経などに重大な影響を及ぼします。内分泌系に作用するため『内分泌かく乱物質』とも呼ばれています。
飲料水の対策を考える
2018年後半頃から、国内におけるマイクロプラスチック関連のニュースが増えるにつれ、水道水へのマイクロプラスチック混入を不安視する動きも出始めています。
水道水のリスクに関して近年を振り返ると、2011年には原発事故による放射性物質への不安が高まりました。いずれにしても、人による環境破壊が、飲料水の原水への影響を及ぼした結果です。
原水への正しい知識
こうした飲料水への懸念材料の対策には、まず、「原水」への正しい認識を持つ必要があります。
日本国内で、飲料可能とされている飲料水を大きく分類すると、「水道水」と「ミネラルウォーター」、「井戸水」に分かれます。(ミネラルウォーターの詳細な定義はここでは割愛し、ボトリングされて販売されている飲料水のこととして扱います。)
「水道水」も「ミネラルウォーター」も、原水は河川や湖、地下水などの自然のお水です。つまり、水道水であっても、ミネラルウォーターであっても、環境破壊によるリスクに大きな差はないということです。
では、何を基準に安全性を考えるべきでしょうか?
飲料水の安全性
安全性について影響があるのは、「原水」、「浄水方法」、「供給経路」です。
『天然水』として販売されているものの多くは、水源の特徴を活かした自然のお水で、浄水処理の基準は「食品衛生法」です。プラスチック製のボトルにつめられて配送されます。
一方、宅配水(ウォーターサーバー)の中には『RO水』という種類があります。
これは、逆浸透膜という浄水フィルターを用いピュアウォーター(純水)をつくりだすので、安全性が最も高いと考えられているものです。
水道水の基準と飲料水対策としての浄水器
水道水の浄水処理の基準は、厚生労働省で定めている「水道法」です。浄水処理の基準は世界の中でも比較的高いと言われています。
一方で、浄水場のお水が蛇口に届くまでには、水道管や屋内配管などを経由します。水道管内の汚れ対策として、浄水後のお水には塩素が加えられます。
そういった衛生面や塩素の匂いなどの対策として、蛇口に浄水器を取り付けるのが一般的になっており、普及率は全世帯の約40%です。
浄水器には様々な種類があり、塩素を取り除ける程度のものから、放射性物質の除去が可能な逆浸透膜(ROフィルター)搭載のものまで、性能差には大きな開きがあります。
どのレベルの浄水機能が必要なのかに応じて製品・サービスを選択する必要があります。
海洋汚染対策に水道直結ウォーターサーバー
コロナウイルス感染防止の影響により在宅勤務や外出自粛などが社会現象となり、ウォーターサーバー市場も2021年には顧客数が465万件と大きく伸びました。
ウォーターサーバーには、大きく分けて宅配水タイプと浄水タイプの2種類があります。 浄水タイプは、水道栓に直接つなぐ水道直結タイプと、手動でサーバーに水道水を注ぐタイプの2種類です。
水道直結タイプのウォータースタンドは、海洋汚染対策にもなるプラスチックボトルの削減を推進し、水のボトル運搬の際に発生する二酸化炭素排出量の削減にも貢献できるウォーターサーバーとして期待されています。


- 参考
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- 環境省「プラスチックを取り巻く状況と資源循環体制の構築に向けて」 https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r01/html/hj19010301.html
- 日本宅配水&サーバー協会「日本宅配水業界統計データ」https://jdsa-net.org/data/statistics/
- 「海のプラスチックごみ調べ大事典」保坂直紀著 旬報社
ウォータースタンドが取り組んでいること
- ウォータースタンドの環境貢献効果
- プラスチックボトルが不要なウォータースタンドは、誰もが使用できる水道水を活用する環境負荷の低いウォーターサーバーです。ウォータースタンドの普及とマイボトル文化の醸成に取り組み、ペットボトルゴミ削減と持続可能な社会の形成に貢献します。
- 産官学の連携
- ウォータースタンドを「給水スタンド(給水スポット)」として公共の場へ設置し、マイボトル活用を推進する自治体と協定を締結することでペットボトル削減に取り組んでいます。
また、環境問題・生態系などの研究者との交流を通した学術機関との連携や、環境課題について学んでいる学校へ訪問し、生徒さんとの意見交流会、出前授業などを実施しています。


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