ROフィルター(逆浸透膜)って何?
RO水は、水中の不純物を限りなく取り除いた純度の高いお水です。 ほぼ水分子のみで浸透力が高いため、宅配水や清涼飲料水、食品・調理業界などで幅広く利用されています。
このRO水とは、どのような浄水方法で造られるのか、、また、一般的な家庭用の浄水器との違いは何なのか。ここでは、RO水を作るためのフィルターや浄水の仕組みについてご紹介しています。

《目次》
- ROフィルター(逆浸透膜)って何?
- ROフィルター(逆浸透膜)を使った浄水の仕組み
- 一般的なの浄水器との違いは?
- 家庭用ROフィルター(逆浸透膜)浄水器規格の成立
- 純水(ピュア・ウォーター)の特徴
- 純水(ピュア・ウォーター)はどこで手に入るの?
1.ROフィルター(逆浸透膜)って何?
ROフィルターは、“ Reverse Osmosis Membrane ” の略で、日本語では『逆浸透膜』といいます。ROフィルター(逆浸透膜)は、原水から不純物を除去する特殊な膜を使うフィルター・システムで、もともとは海水から飲料水を確保するために1950年代のアメリカで開発された技術でした。 日本の家庭で広く使われている浄水器の活性炭フィルターの孔(あな)の大きさが、1マイクロメートルに対してROフィルター(逆浸透膜)は0.0001マイクロメートルの超微細な孔です。 原水を浸透膜に通すと、水分子だけを通過させて有害物質や不純物は非純水(廃棄水)として排水します。

2.ROフィルター(逆浸透膜)を使った浄水の仕組み
① 浸透圧を使った仕組み
浸透膜の原理
まず、『逆』がつかない『浸透膜』の原理について。「水分子しか通さない浸透膜」で容器をしきり、片方に純水、もう片方に水分子以外の不純物を含んだ水を入れると、圧力のバランスが働き、純水の一部が膜を通っていきます。

逆・浸透膜とは
浸透膜の原理
そして、『逆浸透膜』は、不純物を含んだ水に圧力をかけ、純水をつくるというものです。ただし、不純物だけが残るのではなく、不純物を含んだ水が残ります。

② クロスフロー方式
一般的な浄水器は、原水をすべてろ過して浄水する「全量ろ過方式」です。一方、ROフィルター(逆浸透膜)は「クロスフローろ過方式」 といい、筒のなかに膜を何重かに巻きつけて水の通り道をつくり、原水(水道水など)を一定の圧力で流すことで、『純水』を作りだします。このため、生産水に対して約2倍の捨て水(廃棄水)が発生します。この浄水方式なら膜の目詰まりをおこしにくくするというメリットはありますが、処理できる水の量(浄水量)は少なくなります。そのため各メーカーの家庭用浄水器では、浄水をいったんタンクにためて十分な量の浄水を活用できる仕組みのものも多くみられます。
RO膜のろ過構造
ROフィルター(逆浸透膜)浄水器の心臓部にあたるRO膜。この膜の構造は超高度浄水を可能にし、さらに長期間使用できるようにRO膜を通過できない不純物を廃棄する排水機能を備えています。


3.一般的なの浄水器との違いは?
一般的な浄水器との違いは、不純物の除去能力です。蛇口に取り付けるようなタイプの浄水器では、残留塩素やトリハロメタン・鉄さびなどを吸着し除去しているのに対し、RO浄水器は分子レベルの不純物のほぼ全てを除去します。原水が水道水の場合、その除去率は約99%です。
放射性物質も除去可能なフィルター
2011年の東日本大震災では、原発事故により浄水場から放射性物質が検出されたといった報道がされたため、水道水への不安が広がり大きな話題となりました。
ROフィルター(逆浸透膜)搭載の浄水器は、唯一放射性物質を除去することのできる高性能浄水器といわれ注目されています。また、近年話題となっている環境ホルモンやマイクロプラスチックをも除去できるため、今後私たちがさまざまな有害物質と向き合いながら生活していく環境を考えたときには、有効な浄水器といえるのではないでしょうか。
表《浄水器のろ材と除去能力》
活性炭 | 中空糸膜 | 逆浸透 | セラミック | |
---|---|---|---|---|
特徴 | 0.1マイクロメートルの炭の細かい孔に臭いなど吸着させる |
0.4~0.01マイクロメートルの穴が側面に空いた糸で束ねたような形でろ過する |
0.0001マイクロメートルの超微細孔で水分子だけを浸透させて純水をつくる |
ろ過膜の代わりにセラミックを使用したもの |
除去能力 | ||||
残留塩素 |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
カルキ臭 | 〇 |
△ |
◎ |
〇 |
カビ臭 | ◎ |
◎ |
◎ |
△ |
鉄サビ | △ |
△ |
◎ |
△ |
一般細菌 | 〇 |
◎ |
◎ |
〇 |
ミネラルを残す | ◎ |
◎ |
× |
◎ |
トリハロメタン | 〇 |
〇 |
◎ |
〇 |
放射性物質 | × |
× |
◎ |
× |
アスベスト | × |
× |
◎ |
× |
目詰まり | 〇 |
× |
△ |
× |
※◎除去可能、〇条件により除去可能、△あまり除去できないまたは不明、×除去不能
※性能比較は製品によって違うのであくまで目安です
4.家庭用ROフィルター(逆浸透膜)浄水器規格の成立

消費者が安心して製品を使用できるよう、品質や試験方法、維持管理などを定めたJIS S3242(家庭用逆浸透膜浄水器)が2019年3月に制定されました。
浄水器の規格整備がされることで粗悪品の流通抑制も期待され、消費者は品質・性能を確認して浄水器を選び、安心して使用することができるようになりました。
5.純水(ピュア・ウォーター)の特徴
ROフィルター(逆浸透膜)という特殊なフィルターで抽出された水には、水分子以外の不純物がほぼ除去されているので「純水(ピュア・ウォーター)」とよばれています。
「純水(ピュア・ウォーター)」は安全性が求められる食品業界でも高い評価を得ているので、幅広い用途で使用されています。
ミネラル分を含むことが前提のミネラルウォーターとは大きく違い、胃腸機能が未熟な赤ちゃんのミルクや妊婦さんの飲水としても安心して使うことができます。また、純水(ピュア・ウォーター)はマグネシウムやカルシウムなどの硬度成分が取り除かれた軟水なので、食材の素材本来の味と栄養を引き出します。だしを使った料理やご飯もふっくらと炊け、お茶やコーヒーなども美味しくいれることができます。
6.純水(ピュア・ウォーター)はどこで手に入るの?
ニーズにあった形で純水(ピュアウォーター)を調達するにはある程度の知識が必要のようです。 下記は大まかな購入方法の一覧です。
- スーパーなどに設置されている給水機
- 赤ちゃんの調乳・離乳食用・ペット用にも販売されているペットボトル入りの純水
- ウォーターサーバーとして利用されている宅配水
- スポーツ施設などに置かれているウォーターサーバー
- ROフォルター搭載の浄水サーバー
参考文献
「みんなの水道水」「トコトンやさしい水道の本」

