浄水器の種類と選び方
水道直結ウォーターサーバー
ウォータースタンドのある暮らし
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自宅できれいな水がいつでも利用できる「浄水器」。浄水器と一口にいってもさまざまな種類の製品があるので、どのような基準で選べばよいのか悩んでしまいませんか? ここでは、用途に合わせた浄水器の豆知識と、浄水器選びのポイントについてご紹介しています。

浄水器が普及したきっかけは?
浄水器に対する関心が高まりだしたのは、1960年代頃と言われています。1970年代になると、近畿地方の水源である琵琶湖の水質汚染問題がおこり、塩素を多く使用するようになりました。それが原因で水道水のカルキ臭やカビ臭が強くなり、浄水器はそれらを改善する目的で発売されました。
その後、トリハロメタンや農薬などの化学物質が水道水に含まれていると報道され、水道水に対する不安から、浄水器が一般家庭へ普及するようになったといわれています。
さらに、2011年の東日本大震災の原子力発電所事故をきっかけに、浄水器やウォーターサーバーが注目されるようになりました。最近では、水道水を利用したウォーターサーバー型の浄水器も増えています。

浄水器とは
浄水器普及率調査によると、主要7都市における浄水器、浄水シャワーの使用状況は47.3%です。※ 公式に「浄水器」というのは、水道水の中に含まれる残留塩素やトリハロメタン等の物質を除去、または減少させる機器をさしており、法律や規格基準によって定められています。
浄水器の大きな働きは、活性炭のもつ多孔質な表面です。化学反応や吸着力を働かせ、残留塩素やカルキ臭、カビ臭、そして、有機物を取り除きます。ろ過膜(中空糸膜)では、一般細菌やカビ類、赤サビなどを取り除きます。
浄水器をつける目的とメリット
浄水器の目的は、フィルター(ろ材)を組み合わせて水道水をろ過し、安心して美味しい水を飲めるようにすることです。日本の水道水は厳しい品質管理がされており、世界から見ても安全性が高く、そのまま飲んでも健康上問題がないといわれています。さらに浄水器を使えば、水道水に含まれる残留塩素やトリハロメタンなどを取り除いた、よりおいしくて安全な水が飲めます。
浄水器は、水道水特有のカルキ臭やカビ臭といった、気になる臭いや雑味を抑える効果も期待できます。また、ペットボトルの水を購入することも減り、使い終えたボトルのごみも出なくなる、といったメリットもあります。

浄水器のおもな種類と特徴
浄水器のおもな種類は『蛇口直結型』『水栓一体型』『据え置き型』『ポット・ピッチャー型』『アンダーシンク型』『ウォーターサーバー型』の6つに分類されます。
特徴やどんな用途で使いたいかなど、浄水器を選ぶ際の目安として参考にしてみてください。


蛇口直結型
手軽に使いたい方へ

特徴
◎蛇口に直接取り付けるため設置が簡単
◎一番多く使われている浄水器で手軽で安価
×ろ過流量が少ない
×カートリッジの寿命が短く、交換回数が多い
除去能力
メーカーにより浄水物質対象の12物質除去
カートリッジ交換
約3~6ヵ月に1回の交換
価格帯
約2,000~10,000円程度
水栓一体型
外観にこだわりを持ちたい方へ

特徴
◎水栓にカートリッジを内蔵しているのでカートリッジ交換が簡単。先端のレバーで、原水・浄水が切り替えられる
◎シンクまわりもシンク下の収納もスッキリ使える
◎シャワー引き出し式の蛇口タイプが多い
×ろ過流量が少ない
×カートリッジの寿命が短いので、交換回数が多い
除去能力
メーカーにより浄水物質対象の5~12物質除去
カートリッジ交換
約3~4ヵ月に1回
価格帯
約20,000~70,000円程度
据え置き型(シンクトップ)
水質にこだわりたい方へ

特徴
◎お湯や水と同時に浄水が使えるので使い勝手がいい
◎シンク下に場所をとらない
○アルカリイオン水を生成できるものがある
×シンクやカウンターへの穴あけ工事が必要
×内蔵型に比べると価格はやや高め
除去能力
メーカーにより浄水物質対象の5~12物質除去
カートリッジ交換
約1年に1回
価格帯
約20,000~100,000円程度
ポット・ピッチャー型
1人~2人用に適する

特徴
◎持ち運びに便利
◎使い方が簡単で手入れがしやすい
◎デザインやカラーが選べてコンパクト
×浄水能力は高くなく浄水に時間がかかる
×ポット内の水は早めに飲みきらないと雑菌が繁殖しやすい
除去能力
メーカーにより浄水物質対象の9物質除去
カートリッジ交換
2~3ヵ月に1回
価格帯
約3,000~6,000円程度
アンダーシンク型
(ビルトインタイプ)
外観にこだわりを持ちたい方へ

特徴
◎シンク周りがスッキリ
◎カートリッジの容量が大きいので、ろ過流量が多い
△原水と浄水の切り替えが必要
×内蔵型に比べると価格高め
×シンク下にカートリッジの置き場が必要
除去能力
メーカーにより浄水物質対象の12物質除去
カートリッジ交換
約1年に1回
価格帯
約100,000~200,000円程度
ウォーターサーバー型
冷水・温水をたくさん使いたい人向け
特徴
◎水道直結タイプや水道水補充タイプ、宅配タイプがある
◎サーバー内のろ過装置で浄水をためることができる
◎冷水・温水が使えるものがある
◎カートリッジの寿命が長い(交換回数が少ない)
除去能力
浄水物質対象の12物質除去
カートリッジ交換
約6ヵ月~1年に1回
価格帯
月々約3,000~6,000円
※レンタルの場合
浄水器のフィルター(ろ材)の種類と特徴
浄水器に使用しているフィルター(ろ材)によって、除去できる不純物の種類や除去量は異なります。浄水器は、複数のフィルター(ろ材)を組み合わせて使用することが一般的です。
活性炭
浄水器の中でも多く使われている活性炭は、粒状、粉末状、繊維状、ブロック状にした活性炭を使います。簡易型の浄水器や、多量の活性炭を使用して除去性能を持続させる大型の浄水器もあります。
ろ過膜
ろ過膜フィルターにはいくつかの種類がありますが、細かい孔が無数にあいた繊維フィルターのことです。繊維の内部がマカロニのように空洞になった糸を束ねて膜状しているのが特徴です。
RO(逆浸透膜)
RO(逆浸透膜)は、ろ過膜よりもさらに微細な孔があいた膜に圧力をかけることで、水道水に含まれる物質を除去するものです。このフィルターは水分子だけを通過できるため、放射性物質まで除去できるともいわれています。
まとめ
浄水器は選ぶタイプによって、設置場所や価格帯、機能性が違います。コストのあまりかからない手軽につけられる浄水器が良いのか、浄水能力の高いものを選ぶのか、たくさん浄水が使えるものを選ぶのか、など考えたうえで浄水器を選びましょう。
- 浄水器は、水道水からどの物質を除去したいのかを考慮して選ぶ
- 浄水器には、不純物を除去するためのいくつかのフィルター(ろ材)がある
- 浄水器によってフィルターの交換時期が異なるので、忘れずに行う
- 参考
-
- 一般社団法人 浄水器協会http://www.jwpa.or.jp/ro/index.html
- 消費者庁「浄水器」https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/zakka/zakka_34.html
- 「浄水器 かしこい選び方・使い方」池 裕次郎(著) 亜紀書房
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