軟水・硬水を使い分けて
料理の味をワンランクアップ
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料理に使うお水について考えたことはありますか?軟水や硬水という言葉は知っているものの、硬度の違いを知った上で料理や飲み物に使えば、よりおいしくいただけます。
ここでは、軟水・硬水の特徴を生かした料理についてご紹介しています。

軟水・硬水とは?
軟水と硬水は、水に含まれるミネラル量によって分けられます。マグネシウムやカルシウムなどのミネラル成分が少ないと軟水、多いと硬水になります。
ミネラルの含有量は、硬度という数値によって示されます。WHO(世界保健機関)では、水1リットルあたりのミネラル含有量が120mg/l未満ものを軟水、120mg/l以上のものを硬水と定めています。

土地によって違う軟水と硬水
お水の硬度の違いは、大地を形成している物質や地形が関係していると考えられています。私たち日本人がふだん飲んでいる水道水やミネラルウォーターは、ほぼ軟水です。
雨が多く火山性の地層が多い日本では、土地が狭く傾斜も急なため、川の水がすぐ海に流れていきます。そのため、ミネラル分をあまり含まない軟水になります。
一方、なだらかな地形で石灰質の地層が多い欧米では、豊富な地層をゆっくりと通り抜けていくため、ミネラル分を多く含んだ硬水になります。
また、同じ日本であっても地域によって硬度の違いが見られます。
たとえば関西の水は関東よりやや軟水の傾向にあります。昆布だしは硬度の低い軟水が多い関西地方の料理に使われることが多く、かつおだしはミネラルの硬度がやや高い関東地方の料理に使われています。
お水でわかる食文化の違い
その土地の料理を作るには、その土地に長くから使われてきたお水を選ぶことが大切です。
硬水が多く採水されるヨーロッパでは、硬水に含まれるカルシウムが血や肉のくさみ成分と結合してアクとして出やすくなるため、煮込み料理や肉でだしを取る「スープストック」作りに適しています。硬水でパスタを茹でると、カルシウムとでんぷんが結合して麺にコシが出ます。
和食に欠かせないかつお節や昆布は、軟水でだしを取るとうま味をしっかり引き出せます。 また軟水で淹れた日本茶は、まろやかな味に仕上がり香りを楽しめるので、「茶道」という文化が発達したといわれています。
水のいい地域には銘酒が数多く誕生しています。たとえば兵庫の「灘の酒」は辛口の銘酒として知られていますが、これはカルシウムを多く含む神戸・六甲山の湧き水から作られています。
同じ関西地方であっても、京都の伏見の軟水を使った酒は、酵母菌の熟成が進みやすいため、やや甘めの日本酒が生まれます。

軟水・硬水の特徴を活かした料理
軟水と硬水にはそれぞれの特徴に適した料理があるので、どちらが優れているということはありません。軟水と硬水の特徴を知った上で使い分けると、料理の仕上がりも変わってきます。
炊飯
ご飯には軟水が適しています。お米は乾燥した状態から水につけた状態のときに最も水分を吸収するので、炊飯に軟水を使えば、ふっくらと甘みのあるご飯が炊けます。パエリアなどパサパサした食感のエスニック料理には硬水が適しています。

出汁(だし)作り
軟水はだしのうま味成分がほどよく抽出され、味全体に丸みのあるおいしさが生まれます。
ミネラルの多い硬水だと、カルシウムやマグネシウムがうま味成分と結合し、アクが出やすくなります。

野菜を煮る
軟水で野菜を煮ると味がよく染み、やわらかくなります。
硬水は煮崩れさせたくない野菜に向いています。ゴボウやレンコンなどの根菜で歯ごたえを残したり、アクを取り除きたい野菜には硬水を使うと口当たりがよくなります。

魚を煮る
魚を煮るときは、素材の味を引き出す軟水が最適です。ふっくらとさせ、魚本来のおいしさを引き出せるからです。アクの強い魚やスパイシーな味つけのときは、ミネラル豊富な硬水も使われているようです。

肉を煮る
ビーフシチューやポトフなど、ブロック肉などをじっくり煮込む料理には硬水をおすすめします。硬水に含まれるカルシウムと、肉を硬くする成分のたんぱく質が結びつき、アクとして抽出されます。ていねいにアクを取れば肉はやわらかく、澄んだおいしいスープに仕上がります。

その土地に慣れ親しんだ水を利用している人にとって、硬度の違いがあったとしても、その土地の水の特性を利用した調理法で生活をしてきたといった歴史があります。
今は、国内外の水が手に入れやすい時代です。軟水・硬水を使い分けて料理や飲み物を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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- 参考
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- 「正しい水の飲み方・選び方」藤田 紘一郎(著) 海竜社
- 「知識ゼロからのミネラルウォーター入門」日本天然水研究会 (著) 幻冬舎実用書
- 「みんなの水道水」アクア・ライフ・フォーラム21 (著)総合科学出版
- 「水の常識ウソホント77」左巻 健男 (著)平凡社新書
- 「トコトンやさしい 水道の本」高堂 彰二 (著)日刊工業新聞社
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