水道水とは具体的にどんな水なの?
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蛇口から出る水道水がどこから来ているかご存じですか?私たちがふだん日常生活の中で使っている水道水。ここでは水道水がどこからくるのか、水道水にはどのような成分が含まれているのかといった水道水について知っておきたい知識や情報を解説しています。
水道の水ってどこからくる?
水道水の元になる場所のことを水源、その水のことを原水といいます。水源の水は、地上に降り注いだ雨や雪が地下に浸透して集まり、河川や湖沼、地下水になります。これらの水は浄水場できれいな水になり水道管を通って各家庭に運ばれます。
大都市の水道では、大量の水を確保する必要があるため、ほとんどの水源をダム貯留水や河川水等の表流水に依存しています。昭和55年度には年間取水量に対するダムの依存率は約27%でしたが、令和元年度には約47.9%となり、ダムに依存する割合が増大しています。
浄水場から家庭の水道の蛇口にくるまで
貯水池から採水した水は浄水場へ運ばれ、浄化・消毒をしたうえで上水道へ供給されます。浄水場から供給された水は上水道を通って配水区域内にある給水所へ運ばれ、ポンプ設備を利用し、給水管を通って各家庭の水道へと流れていきます。浄水場から家庭に供給されるまでの距離が長く、貯水タンクに水を貯めて供給しなければならない集合住宅などでは雑菌が繁殖しやすく、より多くの塩素を必要とします。このように、消毒に使われる塩素の量やカルキの濃度には地域差があります。
《備考》塩素濃度が異なるわけは?
水道水はおもに川の水を利用するため、川の水質状態や地域によって浄水方法や塩素濃度は異なります。また季節によっても塩素濃度が変わります。たとえば、夏は水温が高くなり雑菌が増える可能性も高まるため、塩素濃度が高めに設定されています。
また、浄水場の周辺と遠くでも塩素濃度が異なることがあります。塩素は浄水場で注入されますが、浄水場から遠く離れた地域だと、水道管を通ってくる間に蒸発し薄くなってしまいます。塩素が入っていないと雑菌などが繁殖するため、水道水を各地域へ送る拠点の給水所で追加の塩素注入を行っている設備もあります。
水道水に含まれる気になる成分
水道水にはいろいろな成分が含まれているといわれますが、いったいどのようなものがあるのでしょうか。
おもな成分には以下のようなものがあります。
- 塩素
- 安全な水を各家庭に届けるために塩素を使って消毒します。塩素は水道水の安全を確保するために必ず必要なものなので、水道水1リットル当たりに0.1mg(ppm)以上の塩素が残るように決められています。
- トリハロメタン
- 浄水場で塩素消毒を行うときに発生する物質で強い発がん性が指摘されています。
- 鉛
- 以前は水道管の材料として使用されていたものが溶け出して水に混じっていましたが、現在は使用禁止となっています。
- アルミニウム
- 浄水の過程でアルミニウムが含まれた薬品を使用するため水道水に混ざりますが、体内に入ったとしてもほとんどがそのまま体外へ排出されます。
水道水の水質基準
水道水にはいろいろな成分が含まれているといわれますが、いったいどのようなものがあるのでしょうか。
おもな成分には以下のようなものがあります。
《 水道水質基準の体系図 》
水質基準項目 |
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水質管理目標 |
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要検討項目 |
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見逃していませんか?水道管や貯水槽の汚れ
水質基準に定められた良質な水道水をつくっても、各家庭へ届けられるまでの衛生管理に問題があっては、安全な水道水とは言えません。マンションやビルなどの貯水槽などは、管理者側に問題がある可能性も指摘されています。生活に最も大切な水を貯める設備だからこそ、特に集合住宅では、貯水槽の衛生管理をきちんとしていかなければなりません。
より安全な水を求めるなら?
各家庭での配管のメンテナンスは個人で管理するのも難しく、水道水の臭いや安全面の不安から、最近では浄水器を導入する家庭も多くなってきています。しかし、安全な水を求めるための浄水器も、きちんと管理されているかどうかがポイントです。浄水器がこれほど普及している背景には、安全で安心、美味しいお水を望む人が増えているということがいえるのではないでしょうか。
浄水した水を衛生的に保つには、水に汚染物質を触れさせないこと。水に触れる容器・器具が衛生的であること、容器に移してから長時間放置しないようにするなどが大事です。一度浄水された水は、塩素が除去された事で雑菌が繁殖しやすい環境にあります。浄水のレベルが高いほど、浄水後の水の劣化は早くなります。より安全な水を求めるなら、高品質に浄水したお水を、早めに飲みきることが最も安全といえます。
まとめ
- 水道水は水源⇒取水塔(取水堰)⇒浄水場⇒給水所⇒一般家庭の水道の蛇口という経路で供給されている。
- 日本の水道水は安全性を確保するため、厚生労働省の水道法第4条による水質基準が定められている。
- 水道水に含まれる塩素は、水源の状態・季節・浄水場からの水道管の距離によっても塩素濃度が変わる。
- 水道水には危険な成分が含まれているといわれているが、人が水道水を生涯飲み続けても人体の健康に影響を与えないよう厳しい水質管理がされている。
- 集合住宅では個人で管理をするには限界があるため、利用者側が浄水器を取り付けるなどして水道水を安全に、おいしく飲む工夫が必要。
- 参考
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- 「トコトンやさしい水道の本」高堂 彰二 (著)日刊工業新聞社
- 「みんなの水道水」アクア・ライフ・フォーラム21 (著)総合科学出版
- 「水の常識ウソホント77」左巻 健男 (著)平凡社新書
- 「知識ゼロからのミネラルウォーター入門」日本天然水研究会 (著) 幻冬舎実用書
- 厚生労働省「水道水質基準について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/kijun/index.html
- 東京都水道局「水源・水質」https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/s_mokuhyo.html
- 公益社団法人 日本水道協会「水道水源の状況」http://www.jwwa.or.jp/shiryou/water/water.html
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