水道水がそのまま飲める国は限られている?日本の水道水が安全な理由をわかりやすく解説

ウォータースタンドのある暮らし

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執筆:ウォータースタンド

日本では水道水をそのまま安全に飲めますが、これは世界でも珍しい「奇跡」といえる環境です。

本記事では、海外旅行や出張の前に知っておきたい「世界の水道水事情」と、日本の水道水がなぜ安全で高品質なのかを分かりやすく解説します。

「日本の水道水は世界一おいしい」。そんな言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

普段、私たちは蛇口をひねれば安全な水が飲めますが、海外ではこの“当たり前”は通用しません。実は、水道水をそのまま飲める国は、国土交通省の資料によると、日本を含めて世界196カ国中わずか9カ国ほどと言われています。

それほど、日本の水環境は世界的にも“奇跡”に近いレベルなのです。

本記事では、海外旅行や出張の前に知っておきたい「世界の水道水事情」と、日本の水道水がなぜ安全で高品質なのかを分かりやすく解説します。

  1. 世界の常識「水道水はそのまま飲めない」
  2. なぜ日本の水道水は世界トップレベルなのか?3つの理由
  3. 海外に行く際の「水」の注意点と対策
  4. まとめ:日本の「水」のある暮らしに感謝を

世界の常識「水道水はそのまま飲めない」

まずは世界の現状を見てみましょう。

多くの国では「水は買って飲むもの」という認識が一般的であり、蛇口から出る水をそのまま安全に飲める国は、実はごくわずかとされています。

そのまま飲める国はどこ?

国土交通省の報告によると、国全体で蛇口から出る水道水がほぼ全国的に安全に飲める国は、世界でもごく限られています。

国土交通省の資料に基づき、「水道水をそのまま飲める国(9か国)」 とされている主な国は以下の通りです。

水道水をそのまま飲める国

  • 北欧・オセアニア:フィンランド、スウェーデン、アイスランド、ノルウェー、デンマーク、ニュージーランド
  • ヨーロッパ一部:オーストリア、オランダ
  • アジア:日本

※ここでいう「そのまま飲める」とは、一般的に国全体で水道水の品質管理・供給体制が行き届いていると評価される国を指します。

一方で、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、アイルランド、オーストラリアなどの先進国でも、地域によっては水道水が「飲用可能」とされる地域はありますが、次のような点から注意が必要とされています。

  • 国全体で一律に安全とは限らず、地域差が大きい
  • 建物内の貯水タンクや古い配管の状態によって水質が左右される
  • 国として「そのまま飲める」と明確に保証していないケースも多い

また、アラブ首長国連邦(UAE)などでは、都市部では飲用可能とされることがある一方で、一般的には注意が必要な国として紹介されることが多いとされています。

なぜ「飲める国」はこんなに少ないの?

「国全体で水道水をそのまま飲める」国が非常に少ない背景には、明確な理由があります。

主に、次の2つの大きな課題が関係しています。

1. 浄水技術とコストの高さ

安全に飲める水を安定して供給するためには、高度な浄水技術と厳密な運用管理が不可欠です。

  • 河川・湖・地下水などの水源を常に清潔に保つこと
  • 殺菌・ろ過・高度処理など、複数工程を継続的に管理すること
  • それを支える大規模な設備投資と運転コスト

これらを全国規模で長期間にわたって維持することは、多くの国にとって容易ではありません。

2. 水道インフラを清潔に保つことの難しさ

たとえ浄水場で高品質な水をつくることができても、家庭に届くまでの配管や設備を清潔に保つことが、次の大きな課題となります。

  • 配管の老朽化によるサビや雑菌の発生
  • 建物内の貯水タンクの衛生管理不足
  • 地域による水圧・水質の違い
  • 広大な国土でメンテナンスが追いつかないケース

このように、「安全な水をつくること」だけでなく、「安全なまま家庭まで届け続けること」が難しいため、世界で蛇口の水をそのまま飲める国は限られているのです。

なぜ日本の水道水は世界トップレベルなのか?3つの理由

では、なぜ日本はこの数少ない「飲める国」に入っているのでしょうか。そこには世界に誇る日本の技術と基準がありました。

① 世界一厳しい?「51項目の水質基準」

日本の水道水には、水道法に基づき厳格な51項目もの厳しい水質基準が設けられています。

主な検査項目

  • 一般細菌:1mLあたり100以下
  • 大腸菌:検出されないこと
  • カドミウム及びその化合物:0.003mg/L以下
  • 水銀及びその化合物:0.0005mg/L以下
  • 鉛及びその化合物:0.01mg/L以下
  • ヒ素及びその化合物:0.01mg/L以下
  • 味・臭気:異常でないこと
  • 色度:5度以下
  • 濁度:2度以下

これらの基準は、水道水として安全に利用できる水質を確保するための管理基準として設定されており、水道事業者による定期的な検査・管理が義務づけられています。

【豆知識】

この51項目という基準項目数は、世界的に見ても非常に多く、徹底した安全管理の表れです。WHO(世界保健機関)の飲料水水質ガイドラインと比較しても、日本の基準は極めて厳格です。

【最新情報】

2026年4月からは、PFOS(ピーフォス)及びPFOA(ピーフォア)という有機フッ素化合物が新たに「水質基準」項目に追加される予定です。これにより、さらに厳しい基準での水質管理が行われることになります。

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② 蛇口まで消毒効果を持続させる「塩素管理」

日本の水道水について、「カルキ臭(塩素のにおい)」が気になるという声もありますが、これは水の安全性を保つための消毒管理が行われている証でもあります。

日本には「蛇口から出る水に、0.1mg/L以上の遊離残留塩素が含まれていなければならない」という法律(水道法第22条)があります。これにより、配管を通ってくる間の雑菌繁殖を徹底的に防いでいるのです。

なぜ塩素が必要なの?
浄水場から各家庭までは、長い配管を通って水が届きます。その途中で雑菌が繁殖しないよう、塩素による消毒効果を「蛇口まで」維持する必要があるのです。

この仕組みにより、日本では配管を通る間の微生物リスクを低減する体制が整えられています。

カルキ臭が気になる場合の対処法

  • 冷蔵庫で冷やす(冷たい水は塩素臭を感じにくい)
  • 沸騰させる(塩素が蒸発する)
  • レモンやお茶を入れる(香りによるマスキング効果)
  • 浄水器・浄水型ウォーターサーバーを使用して水道水を浄水する

③ 圧倒的に低い「漏水率」

日本の水道インフラは、漏水率の低さでも世界的に高い水準にあります。

たとえば、東京の水道管の漏水率(水が途中で漏れてしまう割合)は、2023年度で約2.8%と世界の大都市と比較しても圧倒的な低さを維持しています。

漏水率が低いということは、「水が途中で失われにくい」「管路の劣化や破損が早期に発見・修繕されている」「外部から汚染物質が入り込みにくい」といった点につながります。

日本の水道事業者は、日常的な点検や老朽管の更新を継続的に行うことで、この低い漏水率を維持しています。

海外に行く際の「水」の注意点と対策

日本がいかに恵まれているかが分かったところで、海外へ行く際に気をつけるべきポイントをおさらいしておきましょう。

「硬水」と「軟水」の違いに注意

日本の水は、口当たりがまろやかな「軟水」です。一方、ヨーロッパや北米の多くは、ミネラル分(カルシウムやマグネシウム)が多い「硬水」です。

水質自体は安全でも、硬水を飲み慣れていない日本人は、マグネシウムの影響でお腹が緩くなってしまうことがあります。

トラブルを避けるための4つのルール

1. 基本はミネラルウォーターを購入する
  • 飲料水としては、必ず未開封のミネラルウォーター(ペットボトル)を購入しましょう。
  • 購入する際は「Gas(炭酸あり)」と「No Gas(炭酸なし)」を確認して選びましょう。
2. 氷・加熱処理されていない食品には警戒を
  • レストランやカフェで出される氷や、サラダ、カットフルーツを洗った水が水道水である可能性があります。
  • お腹が弱い方は「氷なし(No Ice / Sans Glaçon)」を頼むのが無難です。加熱処理されていない生野菜や、皮を自分で剥かないフルーツの摂取は控えるのが最も安全です。
3. 屋台等での食事は特に注意する
  • ローカルな屋台や露店で提供されるスープ類、ドリンク、氷は、安全な水が使われているか判断が難しい場合があります。
  • 調理過程で十分に加熱されているもの(揚げ物、煮込み料理など)を選ぶようにしましょう。
  • また、カットされた状態で売られている果物や、衛生管理が不確かな食器にも注意が必要です。
4. うがい・歯磨きも注意
  • 水質が良くない地域や、水道水に不安がある場合は、歯磨きの際やうがいをする際もミネラルウォーターを使うことをおすすめします。
  • シャワー中に誤って口に水が入らないようにも注意しましょう。

まとめ:日本の「水」のある暮らしに感謝を

蛇口をひねれば、いつでも冷たくて安全な水が飲める。

世界を見渡してみると、日本のこの環境は決して当たり前ではなく、先人たちの技術と日々の厳格な管理によって守られていることが分かります。

これから海外へ行かれる方は現地の水事情に十分注意して楽しんできてください。そして帰国した際は、ぜひ日本の水道水を味わってみてください。その「安心できる味」は、日本の豊かな暮らしを支える基盤であることを再認識させてくれるでしょう。

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